特集

2010年7月14日水曜日

レバノン料理とは

今回は、一気に東地中海に飛んでレバノン料理の紹介です。

レバノンは、地中海の東側、イスラエルとシリアに接しています。地図をみればわかるとおり、キプロス島(ギリシャ系住民が多い)やトルコ本土からも比較的近い距離にあります(国旗と地図はwikimediaからのリンク)。古代はフェニキア人(→カルタゴなど地中海の交易)の故郷、後にローマ帝国の一部となり、中世はイスラム帝国、オスマン帝国の支配下、そして近代はフランスの委任統治領を経て独立、と様々な国の影響を受けてきました。中東では珍しく、キリスト教徒とイスラム教徒がほぼ同数(最近はイスラム教徒の比率が増えているらしい)、しかも多様な宗派があって宗教的に多様です。周辺が不安定な地域ということもあって、内戦などのニュースで登場することが多いですが、文明の交差点ということで食文化的には多様で、非常においしいです。日本ではレバノン料理店はまだ多くありませんが、野菜も多く、スパイスもおとなしめなレバノン料理は世界的にも人気のある料理の一つです。


・中東の食文化を基本にしつつも、ベジタリアンメニューが充実、パリでも人気。
中東地域全体の特徴ですが、オスマン帝国の一部だった時代も長いため、ドルマ(野菜の肉米詰め)などトルコ料理の影響も広がってます。フランスの委任統治領だったため、フランスへの移民も多く、レバノン料理店は欧米のあちこちに広がっています。ベジタリアンも満足できるメニューが豊富ということで、パリでも人気の料理の一つです。


(パリのあちこちにレバノン料理店や軽食屋がある)

・ハーブ類としてはパセリ、ミント、レモンを多く使う。
ご近所のペルシャ料理同様、ハーブ類は多く使われます。パセリのサラダ(ミントやレモン汁も入っている)がある位です。レモン汁も多く使われていて、大方のものにレモン汁が入っているか、レモンが添えられている印象です。だからとってもさっぱりしています(同じようにヨーグルトも)。

・中東の中でスパイスは控えめ。
シナモン、ジンジャー、クローブ、ナツメグ、オールスパイスあたりが多く使われます。生のニンニクはいろいろな場面で使われます。スパイスとは少し違いますが、ゴマを多く使われているのが特徴です。

・ペースト(ディップ)が名物
メゼと呼ばれる前菜では、ヒヨコマメやナス、クリームチーズのペーストなどが好まれています(トルコ・中東料理の基本ですが)。ゴマのペースト、ニンニク、レモン汁を混ぜて作られるタヒーニソースは、レバノンの基本ソースの一つで、各種ペーストにも混ぜ込まれています。

(ヒヨコマメのペースト:フムス)

・多様な野菜料理
豆やナスのペースト、豆のコロッケ、パセリのサラダといった具合に野菜料理が充実しているのが特徴です。豆のコロッケ(ファラフェル)はレバノン料理の代表です。これら料理をめぐって、イスラエルと起源の争いをしていますが、隣接地域なので線引きは難しそうです。とにかく、世界一のフムスを目指す戦いやファラフェル大量製作大会など、熾烈な争い(イスラエル vs レバノン )が繰り広げられています。緊張関係にある両国ですが、これは平和的な「戦い」です・・・。


(ファラフェル(豆のコロッケ)とタヒーニソース(ゴマベースのソース))

・パセリのサラダ!
タブーリはレバノンのサラダの代表で、中東で広く親しまれています。
パセリ、ミント、葱、トマト、ブルグール小麦(またはクスクス)をスパイス、オリーブオイル、レモン汁などで調味します。パセリを大量に食べるなんて!?と思われるかもしれませんが、食べてみると意外や意外、とてもおいしいです。健康によさそうな気もします…。



・多様なブルグール小麦(挽き割り小麦)の使い方
挽き割り小麦を蒸して乾燥させたのがブルグールです。ギリシャから中東にかけての東地中海地方では、お米のようにして使われています。レバノンでも、ピラフとして食べる以外に、パセリのサラダ(タブーリ)に混ぜたり、ミンチの肉(または魚肉)に混ぜたもの(キビ)は、レバノンの代表的な郷土料理です。

・米に豆やパスタを混ぜて炊くことも!野菜の肉米詰め(ミハシ)も。
様々なピラフがあります。中東全体でよく見られる料理ですが、米とパスタ(極細)をいためて炊き込んだり、豆を入れて炊き込んだりするピラフが代表的です。魚を煮込んだスープでピラフを炊くような料理もあります。肉と米を混ぜたものを、ズッキーニやトマトなどの野菜に詰めて煮込む料理もあります。ミハシと呼ばれますが、トルコのドルマの親戚です。メジャーなトマトソースのほかに、レバノンではヨーグルトソースなどで煮込まれることもあります。

・ワインの名産地でもある。
中東らしいシロップ系(ローズウォーターなどでにおい付け)の飲み物も充実していますが、キリスト教徒も数多く居住する国なので、ワインも盛んに作られています。気候的にも向いているようです。品種的には、フランスの影響が強い印象です。

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