特集

2010年5月4日火曜日

硝酸塩と食品

今日は、硝酸塩のお話。
たいていの食品には、有益な成分と有害な成分が含まれているので、気にしすぎいては何も食べられなくなるという話もあるのですが、少しだけ気にすることで、おいしいと体にいいを両立させようというのが、こちらの趣旨です。

・添加物としての亜硝酸塩はたいした量ではない
硝酸塩(亜硝酸ナトリウムなど)は、ハムやソーセージなど畜産加工品の発色材・防腐剤として、頻繁に使われていて、しばしば発がん性との関連が心配されています。しかし、国内、EU圏などでは、しっかりとした安全基準が定められていて、心配するほどの量ではないといわれています。実際、厚生労働省の基準では、食肉中に許容される亜硝酸ナトリウムの量は70mg/Kgまでで、次に書く葉物野菜に含まれる濃度に比べるとずっと低い値です。

・日本の葉物野菜には多くの硝酸塩を含まれている!
ハムなどに比べて、はるかに多くの亜硝酸塩を含む食品があって、例えば、ほうれん草やサラダ菜などの葉物野菜には、非常に多くの亜硝酸塩が含まれていることが知られています。農水省のWEBサイトによると、日本のほうれん草には、平均して3560(±552)mg/kg(!)の硝酸イオンが含まれているそうです。これはEUの基準(3000mg /Kg以下)を超えています。植物は、土壌から硝酸塩(肥料でいうところの「窒素N」です)を吸収して、養分として使っていますから、野菜の状態や土地の性質(+肥料)によって、土地ごとに含有成分が異なるのは致し方ないことです。

・硝酸塩自体はたいした毒性はないけれど・・・
実は、この程度の量の硝酸塩自体はたいした毒性はありません。しかし、魚などに多く含まれる生体アミン(アミノ酸から変化してできる)と結びつくと発がん性のあるニトロソ化合物が生じる可能性があり、多少の注意が必要です。いわば「ウナギに梅干」(これは迷信)ならぬ、「魚に葉物野菜」に注意、という訳です。とはいえ魚と葉物野菜をいつも避けるわけにはいかないですし、魚も葉物野菜もどちらも多くの有益な成分を含んでいます。

・茹でてしまえばよい
いろいろ難しいことを書いてしまいましたが、実は簡単な解決策があります。硝酸塩は水溶性なので、茹でてしまえばだいぶ抜けてくれるのです。茹でてから水洗い、水切りをすれば実に半分近くの硝酸塩が除去できることが知られています(農水省WEBサイトによる)。

昔から、「ほうれん草はアクが強いので必ず茹でること」といわれてきましたが(実際に「シュウ酸」という灰汁成分が多く含まれています)、硝酸塩対策の面からも有効だったんですね。
そんな訳で、うちでは、ほうれん草は必ず茹でて、水洗いしてから使っています。
冷凍保存も利くので便利です。

(*)ちなみに、サラダほうれん草に含まれる硝酸塩の量は、ずっと少なくて、189(±233)mg程度しかないようなので、生食して大丈夫です。


参考:
農林水産省・野菜中の硝酸塩に関する情報
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/syosanen/index.html

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