2008年夏のイタリア中部の旅、現地2日目、
この日はボローニャを起点にラヴェンナ、サンマリノ共和国を巡って来ました。
当初の予定ではサンマリノにいくのが目的でしたが、ラヴェンナには素晴らしいモザイク壁画があると聞いて、少し早起きして寄り道していくことにしました。
写真はラヴェンナの中心広場です。落ち着いた感じのよい街でした。
比較的朝早く起きて、ボローニャ中央駅に向います。
普通電車に乗ってラヴェンナに向かいました。
イタリアで電車の写真を撮っていたら職質にあったことがあるので今回は写真はなし(笑)です。
田園地帯をのどかに走ります。
ほぼ定刻でラヴェンナ駅に到着。賑やかで少し怖い感じ(日本人的には)がするボローニャ駅とは違って、まさにのどかな地方の駅といった雰囲気です。地図で見たところラヴェンナ駅の反対側には運河があってアドリア海に通じているようです。
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ラヴェンナは人口15万人ほどのアドリア海にほど近い街で、かつては湿地帯に囲まれていました。古代ローマの末期には西ローマ帝国の首都(皇宮の所在地)、そして東ゴート王国の首都、東ローマ帝国のイタリアでの本拠地として栄え、数多くの初期キリスト教関連の史跡(世界遺産)が残されています。
駅からしばらくは開けた風景で、整った街路樹に比較的新し目な建物が続きますが、旧市街の中心広場も歩いてすぐです。道も細くなり、良い感じです。
ラヴェンナ旧市街の中心ポポロ広場(人民広場)です。こじんまりとした広場ですが、きれいな建物が並んでいました。冒頭の写真も同じ場所です。イタリアの街は中心に公共建築と広場がある作りが多いようです(ボローニャやフィレンツェも)。
ポポロ広場の近くには市場がありました。入り口はこんな感じ。
中はこんな感じ。区画で区切られていて小さな店が並んでいます。主に食料品。時間帯や季節の影響が大きいかもしれませんが、特に賑やかではなく、年配の方が目立ち、地方都市の商店街という静かな雰囲気でした。でもチーズや生ハムをはじめ沢山の楽しげなものが売られています。ちなみに都内で1000円のワインが1.5ユーロで売られているのを発見したのはここです(笑)。
まず訪れたのはサン・ヴィターレ聖堂(Basilica di San Vitale)、東ローマ帝国の統治下にあった6世紀に建てられた教会で八角形のユニークな外観をしています。
内部の様子はこんな感じ。
広い空間の中に
沢山のモザイク画を見ることができます。
ベネチア・サンマルコ寺院のそれに通ずるものがありますが、とても綺麗です。時代的には、サン・ヴィターレ聖堂のそれはずっと古いものです。
聖堂に隣接して建っているガッラ・プラキディア廟堂も見学しました。現在では同じ敷地に建っているように見えますが、本来は別の教会だったようです。
こちらの建物は、5世紀にテオドシウス1世の娘であるガッラ・プラキディアによって建てられたと伝えられています。ローマ帝国末期の貴重な遺構です。ガッラ・プラキディアの霊廟ではなく、当初は記念礼拝堂として建てられたようです。
とても小さな建物ですが、天井は綺麗なモザイクで埋め尽くされていました。
緑色が印象的です。
さらにラヴェンナの街を散策します。
ラヴェンナの旧市街には独特な形の尖塔を持った教会が点在しています。
こちらはラヴェンナの大聖堂。
大聖堂付属洗礼堂は、5世紀ころに建てられた古い建物です。
天井は青が貴重のモザイク画があります。
床に近い方はこんな感じ。
いよいよ電車の時間が近づいて来ましたが、駅に戻りながらまだまだ見学を続けます。
サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂(Basilica di Sant'Apollinare Nuovo)。
5世紀末、東ゴート王国時代に建てられたらしく、当初はキリスト教アリウス派の教会だったようです。第2次世界大戦時に空爆により破壊されましたが、現在は綺麗に修復されています。このとおり中は壮麗です。
日本で言えば古墳時代にこんな立派な建物があったことに驚きましたが、全盛期のローマ(さらに数百年前)は、巨大な水道橋や競技場などを作っていたのだから、当然といえば当然かも知れません。モザイクたち(特にガッラ・プラキディア廟堂)は美しさの中にも何か寂しさのような印象を持ったのも斜陽のローマ帝国の当時の空気を伝えているのかもしれません。鮮やかなモザイクでありながら「豪華絢爛」という言葉では言い尽くせず、どこか寂しさ(うまく表現できません)を感じさせてくれるような美しさはまさに一見の価値があります。一見とは言わずまた行ってみたい・・・。
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後ろ髪ひかれる思いでラヴェンナ駅からリミニ方面に向かう普通列車に乗りました。2両だか3両だかの非冷房のディーゼルカーで、いかにもローカル線という雰囲気です。
どこか日本を思わせる田園地帯、そして海岸沿いを走り抜けていき、無事にリミニに到着しました。今回もほぼ定刻!
リミニ駅についてからが、さあ大変。目的地はイタリアの中にあるミニ国家「サンマリノ共和国」ですが、リミニ駅前からの路線バスに乗らなくてはいけません。乗り換え時間は数分しかなく、しかも乗り場がわかりません。市バスの切符売り場で聞くと、ここではなく向かいの道路沿いにバス停があり、しかもそのバスが今まさに道路に止まっていることを教えてくれました。手を振りながらバスに走りこむことができました。価格は路線バスなみですが、立派な観光バスクラスの車体です。
サンマリノ共和国は、面積61平方キロで人口は3万人、日本でいえば栃木県塩谷郡高根沢町(面積71平方キロ、人口約3万人)とほぼ同じ規模の面積、人口です。でも日本各地にある「◯×共和国」「△□王国」のような‘ミニ独立国’とは異なり、国連にも加盟するれっきとした独立国!サンマリノの中心は切り立った山の上で、お城があって多くの観光客で賑わっています。
サンマリノの城塞。切り立った断崖の上(ティターノ山)にあり、長い間、自由と独立を維持してきました。第二次世界大戦中も中立を貫いたらしいです。城塞の塔から眺めた様子ですが、素晴らしい景色でした。
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リミニからはバスでのアクセスです。サンマリノ共和国の周囲はすべてイタリアに囲まれています。あっけなく通過しますが実はここが「国境」らしいです(画質が悪くてスミマセン。バスの車内からです)。
サンマリノの中心部は丘の上にあるので、山道を登って行きます。
駐車場を降りると、そこは中世の城塞都市です。まるでRPGの王国に紛れ込んだみたい。
サンマリノの中心広場です。サンマリノGP(二輪車のロードレース)のイベントが開かれていました。
そしてこれが政庁。イタリア陸軍でも国家憲兵隊(カラビニエリ)でもない、サンマリノ共和国の衛兵が警備しています。
少し遅目のお昼になりましたが、サンマリノの広場付近でセットメニューをいただきました。
手打ちパスタ3種盛り。いわゆるラザニアやトマト系のパスタです。見た目は似ていますが、それぞれ味付けが異なりました。卵分が多そうなフンワリとしたパスタでした。
サルティンボッカとポテトの盛り合わせ。ポテトの盛りはアメリカンな感じ(笑)。
さらにデザートも付いて15ユーロ(位)のセットで、観光地な感じと思いきや、お味の方はなかなかよかったです。ちなみにサンマリノは税率が低いのか、お酒も含めてお土産の価格もかなりお求めやすい金額でした。
食後はサンマリノを散策します。坂の街です。ちなみにこちらはサンマリノの大聖堂。
山を登っていくとお城(塔)につき、中を見学することができます。サンマリノには3つの塔があって、国旗のモチーフにもなっています。こちらは第一の塔。
お城には、大砲など武器も飾られています。ちなみに現在も衛兵はいますが、周囲はすべてイタリアに囲まれ、特に緊張関係にはないため、あくまで儀礼的な存在のようです。
こちらはお城の様子。
そしてこちらは内部の様子。お城の内部は資料館になっていますが、最上階はこんな感じ。ちなみにかなりスリリングです(笑)
かなりよい景色ですが、下を覗くと断崖絶壁なので高所恐怖症の人は下を見ないほうがよいと思います。
第二の塔の様子。城壁が連なっていて、いかにも、という景色です。
こちらは第二の塔から第一の塔を見た様子。サンマリノの冒頭の写真のところです。
RPG王国な雰囲気が満喫できます。
そして第二の塔からは、第三の塔を見ることもできます(画面左上)。
ちなみにサンマリノ・イタリア間は、パスポートチェックなどは一切無いのですが、広場脇のこちらの建物でお金を払うと、パスポートに入国記念スタンプを押してくれます。テーマパークやどこぞのミニ独立国の記念スタンプをパスポートに押したらめちゃくちゃ怒られるとおもいますが、サンマリノはれっきとした主権国家なので大丈夫。記念になるのでオススメです。イタリア出国時、ボローニャ空港で笑われました。
街を歩いて駐車場へ戻ります。短い滞在時間でしたがかなり楽しめました。ラヴェンナ同様にここも治安面の心配は全く感じませんでした。かなりオススメです。
帰りもリミニ行きのバスに乗ります。本数が少ないのでここは注意が必要です。ちなみにこちらはリミニ市内にある凱旋門。ローマ時代の遺跡です。
帰りは直行の普通列車でボローニャへ戻りました。駅構内で、行先案内を放送していました。日本の駅と同じように行き先と経由地をアナウンスしているだけなのですが、イタリア語の歌のような発音が素敵でした。普通列車は10分遅れで到着、駅の放送や掲示でも案内されているばかりか、車内でも表示、ボローニャに近づくごとに遅れ時間は短くなり、ついには誇らしげに「0」を表示させていました。普通列車とはいえ、かなり飛ばしていました。たぶん140km/h位(特急ユーロスターも通る幹線です)。
夕食は、昨日とは別の店でいただきました。少しオシャレな雰囲気だったので、少々緊張。頼んだワインが品切れとかで、かなり高いワインが出てきたりして焦りましたが、尋ねてみたら、値段は据え置きにしてくれるとのことで一安心です。ちなみに会計時に伝票をみたら、はじめの値段どころか、グラスワインの値段に据え置きどころか、グラスワインの値段で処理してくれていました。
生ハムとサラミ盛り合わせ。エミリアロマーニャの定番です。
当時のメモによるとアスパラガスのリゾット。今ではアスパラガスのリゾット(ミネストラ)はうちの定番だったりします。とにかくおいしかったです。
トルテリーニ。ボローニャの名物スープパスタです。するすると食べられます。
こちらは宵のボローニャ中心広場。比較的大きな街なので治安的には少々不安も感じましたが(なんとなくの)、平和そうな若者たちも集っていて良い雰囲気でした。
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