2010年7月17日土曜日

ギリシャ料理とは

今日はギリシャ料理の紹介です。

ギリシャは、地中海の東側、トルコ、アルバニア、ブルガリア、旧ユーゴスラビア(マケドニア)と国境を接しています(国旗と地図はwikimediaからのリンク)。実は、海を挟んで、イタリア南部とかなり近い位置関係にあります。古代、イタリア南部には、ギリシャからの殖民都市が数多く点在していて(現在のナポリなど主要都市はそれに由来)、食文化的にも共通項がかなりあります。ギリシャは、西欧文明の基盤であり、ローマ帝国を通じて、周辺諸国に様々な影響を及ぼしています(ローマ帝国も後半はギリシャ系国家であった)。さらに中世の一時期はオスマン帝国の支配下にあったことで、食文化的にはトルコとの共通点も数多く見られます。魚介(イカ・タコ含む)、オリーブオイルを多く使うのは、地中海周辺の料理の特徴は共通ですが、フェタなどの独自のチーズの多用や中東地域など東地中海の食文化と融合しているのが特徴です。

・イタリア料理との共通点も多いが、トルコ・中東料理との共通点も多い
西欧文明の基盤であると共に、中世から近世にかけてはオスマン帝国の一部だったため、相互の食文化に共通点があります。
例えば、野菜の肉米詰め、豆の煮込み、豆のペースト、ナスのペーストなどはトルコ・中東料理に近いものがありますし、魚介のパスタやオレガノを多用した香草焼きなどはイタリア南部料理に近いものがあります。その中でも、レモンやヨーグルトなど酸味が程よく利いた爽やかな料理がギリシャ料理の特徴です。

・ハーブ類としてはオレガノ、パセリ、ミント、ディル、レモン、ニンニクを多く使う。
レバノンなど他の東地中海料理同様にハーブ類が多く使われます。様々なサラダや具にパセリ・ミントが使われていますし、ディルを含めて様々な料理に添えられています。さらに魚介や肉の煮込みには、ディルやオレガノなどが使われています。レバノン料理同様に、様々な料理にレモン汁が加えられるほか、ギリシャ料理では、卵とレモン汁を合わせることで独特なソースが使われています(同じようにヨーグルトも多用されている)。もちろんニンニクも多用されます。


(鶏肉の米入り卵レモンスープ)

・控えめではあっても多様なスパイスを使う
ハーブ、レモン、オリーブオイルを調味に多用するのがギリシャ料理の特徴ですが、トルコや中東の影響で様々なスパイスが使われます。クミン、コリアンダーなどに加えて、アニスも使われます。

・ペースト(ディップ)系のサラダが名物
魚卵(タラコなど)を使ったペースト(タラモサラタ)、ヨーグルトと刻んだキュウリ・ミントのサラダ(ジャジキ)などはギリシャの前菜(メゼ)らしい一品です。他にもナスや豆を使った多様なディップ系のサラダが充実しています(トルコ・中東料理との共通点も)。


(ジャジキ:キュウリとヨーグルトのサラダ)

・薄焼きのパイ生地(フィロ)を使った料理
ギリシャ料理の特徴の一つである薄焼きのパイ生地です。これに肉や魚、ハーブなどを包んで焼き上げます。日本では、入手が難しい(というか私が知らないだけかもしれませんが)ので、うちでは春巻きの皮にオリーブオイルかバターを塗ったものを何枚か重ねて使っています。

(干し杏と鶏ひき肉のフィロパイ)

・フェタチーズを使った料理
ギリシャのPDO(EUに認定された特産品)であるフェタは、酸味の利いた白いチーズです。山羊や羊の乳で作られていて濃厚なヨーグルト、クリームチーズのような味、それを少し硬めにした感じです。サラダに載せて定番のギリシャ風サラダとして頻繁に食べられている他、様々な料理で使われています。他にも羊の硬質チーズ(グラビエラ)などギリシャ特産のチーズは料理に使われています。


(海老フェタ焼き )

・魚介を使った料理
エーゲ海の周辺や島々では、魚介を使った料理が沢山あります。ホウボウ(に近い魚)、タイなどの白身魚からイワシ、エビやタコ、イカなど様々な魚介類が食べられています。串焼き、煮込み(スープ)、蒸煮、オーブン焼き、包み焼きなど多用な食べ方であります。


(魚のプラキ)

・肉と米型パスタの煮込み(ユベチ)
鶏肉や羊肉をオーブンなどでトマト煮にし、そこへ米型のパスタ(オルゾー)を入れて、さらにオーブン焼きにして仕上げる料理です。かなり、がっつり系ですが、オレガノやニンニク、トマトが食欲を増進するので、おいしく食べられてしまいます。


(ラムのユベチ)

・肉と野菜の重ね焼き(ムサカ)
ギリシャ料理の定番の一つ。肉と野菜の重ね焼きです。トルコ料理の名物でもあるのですが、ギリシャのムサカにはベシャメルソース&チーズが載っています。そういう点ではラザニア(イタリア中部)のパスタ部分が野菜(ナス、ジャガイモなど)という料理です。


・ワインの他にも、アニス風味の蒸留酒も。
日本ではまだまだなじみの少ないギリシャワインですが、古代にさかのぼって長い歴史を持っています。ギリシャ料理にはやはりギリシャワインが合う気がします。なお、日本ではあまりみかけませんが、松脂の香りがついたレツィーナという白ワインが名物です。私もまだ未体験なので、なんともいえませんが、ハーブ酒のような感じでさっぱりしているらしいです。ギリシャにはワイン以外にも、ウゾという蒸留酒が好まれています(トルコのラクに近いもの)。ブランデーやグラッパのようにブドウベースの蒸留酒ですが、アニスなどのハーブで香りがついているのが特徴です。

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