うちでは、普段から主に(市販の浄水器を通した)水道水を飲んでいて、当然調理にも使っています。
3月22日には、ついに東京の水道水からも乳児向けの基準を超えた放射能が検出されてしまいました。最大で放射性ヨウ素が210Bq/lということです(周辺でもだいたい同程度)。
乳児向けの基準である「100Bq/l」(放射性ヨウ素)の水を1年間飲み続けた場合の被曝量が1mSv(1年間に浴びる自然放射線量に相当)程度なので、数日程度飲んだところで、全く心配はいらないと思います。変に神経を使い過ぎるのはよほど体に悪いですが、(医療被曝とは違って)被爆しても得になることはありませんので、若い人(特に乳児)は避けられれば避けた方がよいのは間違いありません。今回の基準(大人300Bq/l、乳児100Bq/l)はあくまで非常時のものであることに注意する必要があります(*)。
さて、東京の水道水に含まれる放射能(問題となっている放射性ヨウ素)の値をグラフにしてみました。蛇口水(新宿)と、新宿に水を供給していると考えられる荒川水系(朝霞浄水場)と利根川水系(金町浄水場)での放射性ヨウ素の値の日変化です(いずれも朝に採水、浄水場での測定値は20Bq/l以下を不検出としている)。
グラフから分かることは次の3つです。
新宿の水道水は主に荒川水系と考えられる
東京都水道局のWEBサイトによれば、新宿は主に荒川水系で、利根川水系の水を一部混ぜている、ということですが、今回もその結果を裏付けています。金町浄水場で基準越えとなったときでも、新宿の蛇口水では1/10程度の放射能量でした。新宿でのピークは、朝霞浄水場でのピークの後に来ています。
自分の住んでいるエリアの水道水がどこから来ているのかは、自治体のWEBサイトなど(東京都の場合は:「給水区域と配水系統図」)から知ることができます。
浄水場の水はおよそ1日で蛇口に到達する
これが肝心な情報。新宿の水道水は、主に荒川水系から来ているようですが、朝霞浄水場(荒川水系)で値が上がった翌日(3月26日)に最大値(37Bq/l)を記録しています。浄水場からの距離(配水系統)にもよりますが、浄水場から新宿までおよそ1日かかることがわかります。今後、値が上がったとき、規制解除された翌日~翌々日程度までは注意する必要がありそうです。
蛇口水の放射能値は浄水場の値より低い
新宿での最大値(37Bq/l)は、朝霞浄水場での最大値(76Bq/l)の半分くらいです。今回の数日程度の上昇だったため、時間的にならされたおかげで、蛇口水の最大値が浄水場の値の半分程度で済んだ可能性があります。いろいろな配水管や給水所を経由してきているので当然といえば当然です。
今回の水道水中の放射能の増加は、雨によって空気中の放射性物質が降ってきたこと、あるいは地面に降り積もっていた放射性物質が流されてきたことが考えられます。ここしばらくは雨が降った後に、同じようなことが起こる可能性があります。(これ以上、放出元の事態が悪化しなければ)降雨後数日でおさまることがわかったので、加熱消毒した水を冷蔵庫に数日間汲み置きしておくようにするなどすれば、やり過ごすことができそうです(そもそも大人の場合、これくらいの値で済めば神経質になりすぎる必要はありませんが)。
(*)水道水中の放射能量の基準について
現在の放射性ヨウ素は300Bq/l(乳児は100Bq/l)、放射性セシウムは200Bq/lという基準は、あくまで非常時のものであることに注意する必要があります。WHOの基準(平時)は放射性ヨウ素は10Bq/l、放射性セシウムは10Bq/lです。換算される被曝量を考えると、少し位飲んだところで心配はありませんが、これが常態化しないように注意する必要はありそうです。
参考資料:
東京都健康安全研究センター「都内の水道水中の放射能調査結果」(東京都)
http://ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/w-past_data.html
東京都水道局・プレスリリース
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/press/h22/
東京都水道局・事業概要H22
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/jigyo/syokai/01_gaiyou22_1.html
WHO(世界保健機構)>「よくある質問: 飲料水の安全性について」
http://www.who.or.jp/index_files/FAQ_Drinking_tapwater_JP.pdf
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