2011年3月30日水曜日

放射能と水道水

うちでは、普段から主に(市販の浄水器を通した)水道水を飲んでいて、当然調理にも使っています。
3月22日には、ついに東京の水道水からも乳児向けの基準を超えた放射能が検出されてしまいました。最大で放射性ヨウ素が210Bq/lということです(周辺でもだいたい同程度)。

乳児向けの基準である「100Bq/l」(放射性ヨウ素)の水を1年間飲み続けた場合の被曝量が1mSv(1年間に浴びる自然放射線量に相当)程度なので、数日程度飲んだところで、全く心配はいらないと思います。変に神経を使い過ぎるのはよほど体に悪いですが、(医療被曝とは違って)被爆しても得になることはありませんので、若い人(特に乳児)は避けられれば避けた方がよいのは間違いありません。今回の基準(大人300Bq/l、乳児100Bq/l)はあくまで非常時のものであることに注意する必要があります(*)。

さて、東京の水道水に含まれる放射能(問題となっている放射性ヨウ素)の値をグラフにしてみました。蛇口水(新宿)と、新宿に水を供給していると考えられる荒川水系(朝霞浄水場)と利根川水系(金町浄水場)での放射性ヨウ素の値の日変化です(いずれも朝に採水、浄水場での測定値は20Bq/l以下を不検出としている)。




グラフから分かることは次の3つです。

新宿の水道水は主に荒川水系と考えられる
東京都水道局のWEBサイトによれば、新宿は主に荒川水系で、利根川水系の水を一部混ぜている、ということですが、今回もその結果を裏付けています。金町浄水場で基準越えとなったときでも、新宿の蛇口水では1/10程度の放射能量でした。新宿でのピークは、朝霞浄水場でのピークの後に来ています。
自分の住んでいるエリアの水道水がどこから来ているのかは、自治体のWEBサイトなど(東京都の場合は:「給水区域と配水系統図」)から知ることができます。


浄水場の水はおよそ1日で蛇口に到達する
これが肝心な情報。新宿の水道水は、主に荒川水系から来ているようですが、朝霞浄水場(荒川水系)で値が上がった翌日(3月26日)に最大値(37Bq/l)を記録しています。浄水場からの距離(配水系統)にもよりますが、浄水場から新宿までおよそ1日かかることがわかります。今後、値が上がったとき、規制解除された翌日~翌々日程度までは注意する必要がありそうです。


蛇口水の放射能値は浄水場の値より低い
新宿での最大値(37Bq/l)は、朝霞浄水場での最大値(76Bq/l)の半分くらいです。今回の数日程度の上昇だったため、時間的にならされたおかげで、蛇口水の最大値が浄水場の値の半分程度で済んだ可能性があります。いろいろな配水管や給水所を経由してきているので当然といえば当然です。

今回の水道水中の放射能の増加は、雨によって空気中の放射性物質が降ってきたこと、あるいは地面に降り積もっていた放射性物質が流されてきたことが考えられます。ここしばらくは雨が降った後に、同じようなことが起こる可能性があります。(これ以上、放出元の事態が悪化しなければ)降雨後数日でおさまることがわかったので、加熱消毒した水を冷蔵庫に数日間汲み置きしておくようにするなどすれば、やり過ごすことができそうです(そもそも大人の場合、これくらいの値で済めば神経質になりすぎる必要はありませんが)。


(*)水道水中の放射能量の基準について
現在の放射性ヨウ素は300Bq/l(乳児は100Bq/l)、放射性セシウムは200Bq/lという基準は、あくまで非常時のものであることに注意する必要があります。WHOの基準(平時)は放射性ヨウ素は10Bq/l、放射性セシウムは10Bq/lです。換算される被曝量を考えると、少し位飲んだところで心配はありませんが、これが常態化しないように注意する必要はありそうです。

参考資料:
東京都健康安全研究センター「都内の水道水中の放射能調査結果」(東京都)
http://ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/w-past_data.html

東京都水道局・プレスリリース
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/press/h22/

東京都水道局・事業概要H22
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/jigyo/syokai/01_gaiyou22_1.html

WHO(世界保健機構)>「よくある質問: 飲料水の安全性について
http://www.who.or.jp/index_files/FAQ_Drinking_tapwater_JP.pdf

2011年3月27日日曜日

万が一の時、放射能雲から身を守る

食と健康、というよりは、万が一の時にどう身を守るかというお話。
(必ずしも「万」と言い切れないところがコワイですが)

事故発生から2週間あまりが経ちましたが、放射能漏れは未だ収束していません。
原発近傍(とりわけ北西方向)以外では、健康を脅かされるほどの放射線量にはなっていませんが、引き続き注意が必要です。

空間放射線量のグラフ
3月15日には一時的に大気中の放射線量が上がる(北茨城で5μSv/h、東京で1μSv/h程度)という出来事がありました。上がったと言っても一時的なもので、健康に悪影響を及ぼすレベルでは全くないのですが、爆発などによって放射能を含んだ塵が舞い上がると、200km以上離れた首都圏にも放射性物質が届くことがわかりました。
この日は北東方向、すなわち原発から首都圏方向に向かう風が吹いていたことが原因です。(絶対に起きてほしくないですが)万が一、致命的な爆発が起きて、大量の放射性物質がばらまかれたら、いったいどれくらいで届くのでしょうか。

3月15日を例に放射線量の増加をグラフにしてみました(茨城県、東京都が公表している数値を元に計算)。茨城県は市役所での10分おきの計測結果を公表していますから、東京のデータに合わせて1時間ごとの平均にしました。





北関東での風は、概ね北東方向で、地表での風速は3m/h程度でした。原発でのどんな出来事によって放射性物質が撒き散らされたのか今ひとつ不明なので、正確なことはわからないのですが、北茨城(市役所)での増加に続いて、1時間後には高萩(北茨城市役所から約10km)、5時間後には東京の新宿(北茨城市役所から約150km)で増加が生じています。当時の風速(3m/s程度)を考えると、東京への到達が早過ぎるような気がしますが、上空では風速が速いためと思います。風速・風向にもよりますが、原発から放出された放射性物質は数時間もすれば都心に届くようです(11/04/05追記:風速・風向で大きく変化するので「数時間」に修正。)。もちろん、距離が離れれば、塵も拡散するので、受ける放射線量もだいぶ下がることがわかります。
ちなみに、東京では、夕方にも再び放射線量が増加しています。あくまでも推測ですが、16時ころより風向が南東の風に変わっていますので、一旦通り過ぎた「放射能を含む塵」の一部が一旦、東京上空に戻ってきたのではないかと思います(11/04/05追記:概ね予想に近いですが、放射能雲の帯の蛇行が関係しているようです)。

万が一の時はどうしたらいいか
福島の原発から放射性物質が放出されてしまうと、風向きによっては半日ほどで、東京の放射線量も上がることがわかりました(風速によって変化)。しかし、風向きが変われば、放射性物質を含むガスや塵(放射能雲)は、吹き飛ばされていき、放射線量は再び下がります。(絶対に起こってほしくないですが)もしさらなる爆発などがあった場合、まずどうしたらいいか、ということですが、屋内に退避して、放射能雲が通りすぎるのを待つのが、懸命だと思います。変に逃げようとして、屋外に出て右往左往していると、もろに浴びてしまうことになりかねません。コンクリートの建物に入って、窓を閉め、換気を止めていれば、受ける放射線の量はかなり減らすことができます(うまくすれば1/10程度)。東京のように200km程度離れた遠方であれば、数時間屋内で耐えていれば、放射能雲をやり過ごすことができると考えられます。万が一のためにも日頃から関連情報に注意して、慌てずに一時退避することが重要だと思います。少し神経質かもしれませんが、私の場合は、ニュース等に加えて、茨城・埼玉・東京当たりの大気放射線モニタリングを時々チェックしています。なお、誤解を受けるといけないので、繰り返し書いておきますが、3月15日の放射線量上昇それ自身(5~1μSv/hを数時間程度)には健康上のリスクは全くありません



参考:どれくらいの被曝まで大丈夫なのか
被曝量の評価にはSv(シーベルト)という単位が使われます。一般人の法的な許容は0.001Sv、つまり1m(ミリ)Svですが、自然界に含まれる(ラジウム温泉など)放射能から受ける放射線として世界平均では2.4mSvほど浴びていると言われています。実験などで講習をうけた方はご存知だと思いますが、放射線従事者は50mSvが限度です。TVなどで累計100mSv(10万μSv)までは大丈夫などと言っている人もいますが、CTスキャンなどの医療被曝でもわずかながら、ガンを引き起こしているという論文もありますので(Berrington de González et al., 2004; Berrington de González et al., 2009)、どうしても避けられない場合を除いて、そこまでは浴びないほうがよいです(ガンが増える割合が僅かなのは事実です)。自然放射線+医療放射線+α程度である年間5mSv程度までなら、まず心配ないと思いますが、医療被曝と違って何のメリットもありませんので被曝量は少ない方がよいことは間違いありません(11/04/05追記)。

(100~200km程度離れた遠方ならば)情報に注意していて、万が一のことが起きたら、まずは換気を止めて屋内退避(風向きが自分たちに向かっている場合。東京では北東から来る風のとき)、これが真っ先にとることができて、最も有効な対処法だと思います。でも、こんなことを心配しなくてもいいように、現場の人々に感謝しつつ、問題解決の筋道がつくことを深く祈っています。


参考資料:

東京都・健康安全研究センター・都内の環境放射線測定結果
http://ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/→ 「環境放射線量測定結果(最新データ)」から現在の空間放射線量(新宿区)を知ることができます(蛇口の水道水、放射性物質降下量の調査結果も)。

茨城県(茨城県トップ > 平成23年東北地方太平洋沖地震関連情報>県内の放射線情報
http://www.pref.ibaraki.jp/20110311eq/index2.html
→県北の空間放射線量を知ることができます。
現在の様子を知るには
茨城県環境放射線監視センター(放射線テレメータ・インターネット表示局
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html
もオススメ。こちらの値が上昇したら東京も要注意です。もちろん1~2μSv/h程度の上昇で一喜一憂する必要はないですが。

気象庁(ホーム > 気象統計情報 > 過去の気象データ検索
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
→現在・過去の気象情報(風向・風速など)を知ることができます

Berrington de González A, Mahesh M, Kim KP, Bhargavan M, Lewis R, Mettler F, Land C. Projected cancer risks from computed tomographic scans performed in the United States in 2007. Arch Intern Med. 2009 Dec 14;169(22):2071-7.

Berrington de González A, Darby S. Risk of cancer from diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries. Lancet. 2004 Jan 31;363(9406):345-51.
→医療被曝(主にCTなど)による発がんの可能性を指摘した論文(むやみにCT検査を繰り返すのは避けたほうがよい、という趣旨)。増分は僅かなので、必要な検査を恐れる必要はないです。

2011年3月21日月曜日

放射能と菌類(キノコ)

福島の原発事故の影響で、首都圏の農作物・牛乳等から放射能が検出されたようです。照射が一瞬でおわる胸部X線検査(外部被曝)とは異なり、放射能を出す物質を吸い込んだり、摂取したりすること(内部被曝)は、極力減らしたほうがいいといわれています。しかし、チェルノブイリ事故の例と比べると漏れ出した放射性物質の量はずっと少なく、現時点で、それほど神経質になることはないと思います。(11/10/22 注:実際にはチェルノブイリの1/5~1/10の放出量、INESレベル7の大事故になってしまいました) 現在(2011年3月の時点で)問題になっているのは、放射性物質を含む塵で、ホウレン草などの葉物野菜には、この塵が降りかかりやすいことにあります。基準値(野菜等で2000Bq/Kg)を超えた野菜は市場に流通する可能性は低く、放射性物質を含む塵に関しては洗い流してしまえば影響は大幅に減ります(11/04/05 注:事故後は野菜を洗ってから放射能測定しているらしいです)。しかも現在問題になっている放射性ヨウ素(131I)に関しては、半減期は8日程度、つまり1週間もすれば放射能を出す能力は半分程度になるので、発生源(原発)自体がこのまま沈静化してくれれば、値は大幅に下がるはずです。しばらくは注意深く推移を見ていく必要がありそうです。
一方、同時に検出された放射性セシウム(137Cs)も、検出量はずっと少なく(放射性ヨウ素の概ね1/10程度)、原発の近傍を除けば、現時点で心配する必要はほとんどないと思います。しかし半減期は30年と長く、放射性セシウムを蓄積する性質のある食品もあるので、今後しばらくは若干の注意が必要かもしれません。

菌類には放射性セシウムを蓄積する働きがある
菌類、つまり、キノコには放射性セシウムを蓄積する働きがあることが知られています。実際、大量の放射能漏れを起こしたチェルノブイリ原発の事故(1986年)の後、かなり長い間、ヨーロッパ産のキノコからは高い濃度の放射能(生のキノコで40000Bq/Kg、乾燥品では140000Bq/Kgのものも)が検出されていました。
日本では、輸入食品の放射能量は370Bq/Kg以下であることが基準ですが、最近になっても基準越えで輸入差し止めとなった例がでています(例えば2008年・ベラルーシからのアンズタケで450Bq/kg)。もちろん日本で市場に出回っている安価なキノコの多くは屋内での菌床栽培であり、放射能蓄積の心配はほとんどありません。実際、平時の調査(2000年秋)でも、菌床栽培のキノコ(シイタケ)は屋外のものに比べて、放射性セシウムの量が1/4程度であることが知られています(Ban-nai et al.2004)。もちろん、微量の放射性物質は平時でも検出されていて、どちらもほとんど0に近く健康には全く影響ないレベルです(2.0 Bq/Kg vs 0.5 Bq/Kgのような超微量同士の比較)。ただし、環境中の放射性セシウムが増えたとき、同じような傾向になると考えられるので、屋外、とりわけ野生のキノコには放射性セシウムが蓄積される可能性があります。


自己判断のキノコ狩りには注意が必要
チェルノブイリ事故での事例や、平時の日本での調査(Ban-nai et al., 2004)から考えると、放射性セシウムなどの放射性物質が野生のキノコに蓄積する可能性があります。もちろん、現時点ではどの程度の量になるのかわかりませんし、現時点での放出量で留まってくれれば、きのこ狩りに行って食べた位の量で、すぐにどうこうなるとは到底思えないので、気になる人は気をつけておいた方がよい、といった程度です。そもそも食用キノコと毒キノコの区別が難しいので、自己判断でのキノコ狩りは大変危険です。実際に、厚労省の統計によれば、毎年100~200人近くの食中毒をだしています。個人的には、5年くらい前に、知り合いの知り合いが採ってきたというキノコを食べ、頭痛と嘔吐でひどい目にあった経験があります(酒にも弱いので本当にキノコにあたったのかは不明ですが)。キノコは大好きなのですが、それ以来、自己判断(や素人の判断)で野生のキノコを食べるのは避けています。結局のところ、毒キノコの方がよほど危ない、という話もあるのですが、加えて、今年の秋は、場所によって残留放射能の問題も生じる可能性があるので、自己判断によるキノコ狩りは控えたほうがよいと思います。今後しばらくは経過を追っていきたいと思います(写真は毒キノコであるベニテングタケ、wikipediaより)。

いずれにしても、現在の放出量で沈静化してくれれば、原発のごく近傍を除けば、心配するほどの被爆量にはならないですし、(放射性ヨウ素の半減期は1週間程度なので)食品の問題も徐々に沈静化していくと思います。その点からも原発事故がこれ以上悪化しないことを祈っています。



参考:ベクレル(Bq)とは
放射能にはさほど詳しくないのですが、多少関連のある資格を持っているので一言。
1ベクレル(Bq)とは、「1秒間に原子核1つが崩壊して放射線を放つ」放射能のことであり、今回問題になっている放射性ヨウ素や放射性セシウムではガンマ線が出ます。1Bq/Kgとは1Kgの物体から1秒あたりに1つの原子核が崩壊している(放射線を出す)ことを意味しています。つまりごく微量です。これに対して、最近、新聞などで目にすることが多いシーベルト(Sv)とは、人体がどの程度の放射線を受けたかを示す被曝量の単位です。「~Bq/Kgの食品を~gほど~日間食べたときの被曝量は~Sv」といった具合に、計算して被曝量を評価します。


参考文献:
Ban-Nai T, Muramatsu Y, Yoshida S. Concentrations of 137Cs and 40K in mushrooms consumed in Japan and radiation dose as a result of their dietary intake. J Radiat Res. 2004 Jun;45(2):325-32.

Duff MC, Ramsey ML. Accumulation of radiocesium by mushrooms in the environment: a literature review. J Environ Radioact. 2008 Jun;99(6):912-32.

輸入食品違反事例(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1ae.html
→ 北東ヨーロッパ産のキノコから、時折基準越えの放射性セシウムが検出されて輸入差し止めになってます。基準というのが、370Bq/Kgと厳しめですし、そんな高級品は沢山食べるものでもないので、それこそ心配する必要のない値ですが・・・(「微量の放射線が体によい!?」と言われているラジウム温泉と同程度)。

毒キノコによる食中毒発生状況(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/syouhisya/101022-2.html
→ 死者は数名のみですが、毎年100~200人の中毒者をだしています。昨年はとくに数が多かったようです。

追記(11/03/27):
21日の時点で「放射性セシウム(137Cs)も、検出量はずっと少なく」と書きましたが、食品でもセシウムの放射能量が基準越えになった例も出ており、原発に近い地域では、深刻な土壌汚染も起きているようです。「チェルノブイリ事故の例と比べると漏れ出した放射性物質の量はずっと少なく」と書きましたが、放射性セシウムによる土壌汚染では同程度の地域も出ているようです。しかもトラブルを起こした原発が3機(+使用済み燃料プール)もあり、放射性物質の漏洩は未だ続いています。おまけにプルトニウムの混じった燃料(3号機)も使われているので、予断は禁物です。パニックを起こす必要はありませんが、まだまだ楽観できる状況ではないと思います。

追記(11/04/05):
厚生労働省の報道資料によると、ついに原木栽培(屋外)のシイタケから規制値を超えた放射性セシウムが検出されてしまいました(4/1採取)。過去の文献からも推測できる通り、菌床栽培(屋内)は無事です。基準値というのは今回の事故を受けての暫定基準(放射性セシウムは500Bq/Kg)で、これまで用いてきた輸入食品のための暫定基準(370Bq/Kg)よりも緩いことに注意してください。野生のキノコでの蓄積はこれから徐々に進むはずです。残念ですが、状況がはっきりするまでは、南東北~関東にかけては山林に入ってのキノコ狩りは控えた方が良いと思います。

参考:厚生労働省>緊急モニタリング検査結果について(福島県・野菜)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017sys-att/2r98520000017t43.pdf

追記(11/07/03):
地域限定になりますが、野生のキノコ同様に野生の淡水魚にも注意が必要です(養殖物は大丈夫)。
放射能と淡水魚」にまとめましたので興味のある方はご参照ください。





放射能とキノコの話題です。

野生キノコの放射能の問題は現実のものとなり、北海道を除く東日本では野生のキノコには注意が必要です。

菌類と放射能2(野生のキノコと栽培キノコ)
野生のキノコと栽培キノコについて近況をまとめた続編です。

菌類と放射能3(菌床キノコの近況)」菌床キノコからも暫定基準値超えが出てしまいました。菌床培地の問題と考えられるので、十分に防げると考えています。

あわせてこちらの記事もご参照ください。

2011年3月20日日曜日

東日本大震災

3月11日の東日本大震災、大地震、巨大な津波、そして原発事故と、東北~北関東は未曾有の災害に襲われていて心が痛みます。いわき~茨城県北部には何度も訪れていて、親戚もいる地域ということもあって、原発事故の今後も気がかりです。


地震当日、復旧した電車に乗って、0時過ぎに自宅へ帰ってくると、玄関では瓶が割れ、飾り棚から落ちた時計が、地震の起きたときの時間で止まっていました(電池が抜けただけだったので復旧可能)。ワインのビンなども相当床に転がっていたのですが、ほとんどが耐えてくれて、我が家では、コップ3つとビン1本程度の被害で済みました。



我が家では、タンスなどの家具は1つも倒れませんでした。震源から若干遠かったこともあるかもしれませんが、家具の下に簡易とはいえ転倒防止のゴムを入れていたのが幸いしたと思います。家具の手前に転倒防止のゴムを挟むことで、家具を壁側に若干立て掛ける状態にすることで、倒れこんでくるのを防いでくれたのだと思います。



転倒防止のゴムを挟めないタイプの家具には、手前側の足だけに100円ショップで買ったコルクを挟みました。同様の理屈で、壁側に若干傾け、摩擦をかけることで、転倒防止効果を狙っていました。こちらは、ホームセンターで買った組み立て家具で、非常に華奢なつくりで、以前から地震が来たら倒れてしまうのではないかと心配だったのですが、コルクのおかげもあってか、無事でした。今まで杞憂と思いつつも、とっていた転倒対策でしたが、どうやら少しは役に立ってみたいです。



割れてしまったコップ(ビール用の陶器)は、食器棚の観音扉が開いてしまったのが原因でした。まだまだ余震が来るかもしれませんし、観音扉をマジックテープのひもで固定することにしました。100円ショップで売っていたケーブルまとめです。取っ手の間隔が広い場合には写真のように二つつなげて使っています。



どこまで効果があるかはわかりませんが、気になる方はぜひ試してみてください。これで、少なくとも震度5強位までは耐えてくれるはずです。

2011年3月9日水曜日

白いんげん豆のクロスティーニ、キノコのクロスティーニ、アスパラガスのミネストラ、牛肉とチコリのインヴォルティーニ

3月7日の晩ご飯。イタリア中部のイメージです。

・白いんげん豆のクロスティーニ
 
昨日使った白いんげん豆の残りを使いました。ローズマリーの香りのついています。



・キノコのクロスティーニ
 
定番中の定番です。キノコの炒め物に小麦粉を混ぜて、クロスティーニに乗りやすくしたものです。



・アスパラガスのミネストラ
 
久々のイタリア米料理です。茹でたアスパラガスの茹で汁(+パセリの茎、セロリの葉、ネギの先端、フェンネルの葉を加えた)で米を煮込みます。シンプルですがおいしいです。




・牛肉とチコリのインヴォルティーニ
 
炒めたチコリとチーズを牛肉でまいたものです。とてもおいしいです。


参考レシピ:
ダニエラ・オージック「イタリア地方のおそうざい」(柴田書店)2005
 →白いんげん豆のクロスティーニ、キノコのクロスティーニ、アスパラガスのミネストラ
ピエロ・ベルティノッティ「リーゾ」(柴田書店)2005
 →豆のリゾット
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2011年3月8日火曜日

生牡蠣のガスパッチョソースがけ、刻み野菜のサラダ、バレンシア風パエリア、イサキのオーブン焼き

3月6日の晩ご飯。実は久しぶりにスペインです。

・生牡蠣のガスパッチョソースがけ
 
レモン汁で少しマリネした生牡蠣にガスパッチョのようなトマト+キュウリのソースをかけていただきます。



・刻み野菜のサラダ
 
いつもの定番です。



・バレンシア風パエリア
 
白いんげん豆とご飯を炊き込んだパエリアです。サヤインゲン、トマト、鶏肉を使います。



・イサキのオーブン焼き
 
予めオーブン焼きにした赤ピーマン、玉ねぎ、ニンニク、ジャガイモの上にレモンを挟んだ魚を載せて焼きます。さらに辛口のシェリーをかけて3分焼きます。実は初出。


参考レシピ:
おおつきちひろ「タパス」(文化出版局)1997
 →生牡蠣のガスパッチョソースがけ、刻み野菜のサラダ
Vicky Harris and John Newton, The food of spain. Whitecap (2008)
 →バレンシア風パエリア、イサキのオーブン焼き

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イカとキノコのパスタ、豚スペアリブの蜂蜜バルサミコ風味、ルッコラのサラダ

3月4日の晩ご飯。平日の定番、イタリアです。

・イカとキノコのパスタ
 
ニンニクと唐辛子で味付けしたオリーブオイルでイカとキノコを炒めて、トマトを加えたパスタソースです。今回はリングイネでいただきました。



・豚スペアリブの蜂蜜バルサミコ風味
 
豚スペアリブを、バルサミコ酢、オリーブオイル、ニンニクで浸け込み、炒め合わせた一品です。とてもおいしいです



・ルッコラのサラダ
 
いつものルッコラのサラダです。



参考レシピ:
ダニエラ・オージック「イタリア地方のおそうざい」(柴田書店)2005
 →イカとキノコのパスタ
石川みゆき「たった15分でイタリア家庭料理」(青春出版社)2007 
 →豚スペアリブの蜂蜜バルサミコ風味

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2011年3月5日土曜日

コラトゥーラ風味のファッロ小麦、カジキマグロのレモンソース

3月1日の晩ご飯。イタリア南部のイメージです。

・コラトゥーラ風味のファッロ小麦
 
コラトゥーラとはイタリア南部でつくられる魚醤です。日本で買うとかなり高価なのでうちではナンプラーで代用しています。ニンニク、唐辛子、ナンプラーで味付けしたスープで煮込んだファッロ小麦です。缶詰のイワシも添えてみました。創作(自己流)料理、初出です(笑)。少々塩辛くなってしまいましたがおいしかったです。



・カジキマグロのレモンソース
 
小麦をつけて焼いたカジキマグロに、レモン、オリーブオイル、オレガノ、パセリなどからなるソースをかけます。久しぶりですが、おいしかったです。



参考レシピ:
石川みゆき「たった15分でイタリア家庭料理」(青春出版社)2007 
 →カジキマグロのレモンソース
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2011年3月3日木曜日

パスタ・エ・ファゾイ、ティラミス

2月28日の晩ご飯。北東イタリア(ベネチア周辺)です。

・パスタ・エ・ファゾイ(パスタとウズラ豆)
 
冬の定番、イタリア版ほうとうです。数々の野菜、パンチェッタ、豚肉とうずら豆を煮込んだスープにパスタを加えて作る「煮込みパスタ」です。今回は生パスタ(市販品)を使いました。シナモンの風味が効いています。



・ティラミス
 
久しぶりに作ってみました(製作は日曜日)。卵3個(卵白、黄身はそれぞれ泡立てて、混合)にマスカルポーネチーズ1パックを使いました。だいぶ久しぶりだったので失念していましたが、卵3つだと多少生地が緩くなってしまうようです。卵黄+マスカルポーネであれば3つでよいのでしょうが、全卵を使うときには2つで十分かもしれません。味の方はおいしかったです。



参考レシピ:
ダニエラ・オージック「イタリア地方のおそうざい」(柴田書店)2005

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焼きナスとトマトのペースト、フェタチーズと甘長唐辛子のペースト、クミン風味のカボチャのスープ

2月27日の晩ご飯。ギリシャ料理前菜編です。

・焼きナスとトマトのペースト
 
焼きナス、トマト、玉ねぎ、ニンニクからなるペーストです。チコリの葉に載せていただきます。



・フェタチーズと甘長唐辛子のペースト
 
焼いた甘長唐辛子と赤唐辛子を刻んで、フェタチーズ、オリーブオイル、牛乳、レモン汁と混ぜあわせて作ったペーストです。前菜(メゼ)として酒のツマミに最高です。今回はピタパンにつけていただきました。




・クミン風味のカボチャのスープ
 
一見すると普通のカボチャのスープなのですが、クミンとジンジャーで味付けしています。さらに仕上げに添えているのは生クリームではなく、水切りヨーグルトです。軽くスパイスが効き、しかもヨーグルトがさっぱりとした味わいを加えてくれてとてもおいしかったです。今回初出。



参考レシピ:
Rena Salaman and Jan Cutler. The Illustrated Food and Cooking of Greece. Lorenz Books (2005)

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ニシンのフェンネル風味のオーブン焼き、ラムの串焼き、ピタパン

2月27日の晩ご飯。ギリシャ料理です。

・ニシンのフェンネル風味のオーブン焼き
 
フェンネル風味の魚のオーブン焼きです。魚の下にいるのは、グリル焼きしたフェンネルの茎(レシピ本ではフェンネルバルブ、今回は在庫の都合で茎を使用)、そして生の葉です。魚にはフェンネルシードをまぶしてオーブン焼きしています。仕上げにウゾ(フェンネル、つまりアニス風味のお酒)をフランベして魚にかけます。フェンネルの香りは魚介の風味をさっぱりとさせてくれます。ニシンとはばっちりの相性でした。実はうちで生のニシンを買って食べるのは初めて。

・ラムの串焼き
 
オリーブオイル、レモン、ニンニク、オレガノなどでマリネしたラム肉を串焼きにします。半ば定番ですが、とてもおいしいです。今回は自家製のピタパンと合わせていただきました。



・ピタパン
 
ギリシャやトルコでは、串焼きの肉などを、ピタパンと呼ばれる平焼きのパンに挟んで食べることが多いです。日本でも見かけることが多くなったいわゆるケパブサンドです。今回は、このピタパンの自家製に挑戦してみました。強力粉、オリーブオイル、塩、ドライイーストを練りこみ、しばらく発行させた後に、円盤状にしてフライパンで3分ほど焼くだけです。一旦大きくふくらませて内側にポケットができるとさらによいのですが、今回はそうにはなりませんでした。でも、とてもおいしかったです。メゼ(前菜)をつけていただくのもとてもよかったです。意外に手軽に作れてびっくりです。今回初出。



参考レシピ:
Rena Salaman and Jan Cutler. The Illustrated Food and Cooking of Greece. Lorenz Books (2005)
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2011年3月2日水曜日

菜の花のパスタ

2月27日の昼ごはん。簡単イタリアンです。

 

最近、繰り返し気味ですが、冷蔵庫に菜の花が残っていたので、菜の花のパスタです。今回はアクアパッツァ用に買っておいた筒状のパスタ(カラマリ)です。今回は唐辛子も加えて少し刺激を加えました。


参考レシピ:
「イタリア地方料理の探求」(柴田書店)2005

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