いろいろな地域の料理の大雑把なまとめです。少し間が空いてしまいましたが、ポルトガルに引き続いて、スペイン料理の感想です。
スペインはピレネーの南、イベリア半島にあります(国旗と地図はwikimediaからのリンク)。南国というイメージが強いですが、モロッコの沖合いにあるカナリア諸島を除くと、北緯43度から36度の範囲に位置し、日本でいえば北海道から茨城県くらいまでの緯度に相当します。ただし地中海性気候なので、緯度に比べて気候は温暖です。
魚介(イカ・タコ含む)、オリーブオイルを多く使うのは地中海周辺の料理の特徴は共通です。同じイベリア半島ということもあって、料理の方は、ポルトガルと共通点も多いです。また隣国であるフランスやモロッコ、さらに地中海をまたいで向き合っているイタリアとも重なるところもあります。いろいろ作ってみた感想ですが、スペイン料理には以下の様な特徴があります。
・南部はイスラム文化の影響、北部はフランス料理の影響など地域の多様性が豊か。
一言でスペイン料理といっても地域差が大きいです。中世の一時期、イスラム文化圏にあった影響もあって、スパイスの使用(クミン、カイエンペッパーなど)、肉とフルーツの煮込み、など南部を中心にイスラムの食文化の影響を受けています。一方、ガリシア地方など言語的にもポルトガルに近いエリアではポルトガル料理、ピレネー山地周辺(北部)のバスクやカタルーニャではフランス料理との共通点もあるなど隣接地域と相互に影響しながら地方料理が充実しています。
・ハーブとしてはパセリ、ニンニクを多く使う。
「(イタリアン)パセリ、ニンニクを使えばスペイン風」とレシピ本に紹介されているほど、多く使われます。ちなみにニンニクは絶対に焦がさないのがスペイン風らしいです。
・スパイスの使用は多くはないがパプリカ、サフランなど。
情熱の国のイメージが強いスペインですが、スパイスの使用は意外に少なく、塩・コショウの他に多く使うのはパプリカ(粉)、あとはサフランくらいです。もちろんイスラムの食文化の影響が強い南部では多様なスパイスが使われます。
・イワシを使う料理が多い!
単なる素揚げも非常に好まれているようですが、マリネや野菜のはさみ揚げなどイワシを使う料理が充実しています。材料費も安く、健康にもよいのでお勧めです(多価の不飽和脂肪酸、カルシウムが豊富、水銀など有害物質の蓄積が少ない)。ちなみにアンコウも食べるようですが、アン肝を食べる習慣はないようです。
・スペインの米料理といえばパエリア!
バレンシア地方のような稲作地帯があるため、米料理も多く食べられています。平たい鍋(パエリアパン)で具材と共に米を煮込んで作るパエリアは日本でも有名、うちでもしばしば楽しんでいます。スペインの米も短粒ですが、日本の米に比べると若干固め、煮込んでも型崩れしにくいのが特徴です(日本では大変高価、うちでは普通に国産米で作ってます)。
・南米の食文化と相互に影響
大航海時代の南米植民地化の影響で、食文化には相互に強い影響を与えています。スペイン料理というとトマト、ピーマン(を含む唐辛子)の影響が強いですが、これらは南米由来です。それ以前は、スペイン料理もトマト・唐辛子なしでしたが、卵料理や煮込み料理など様々な伝統料理が息づいています。一方、南米の食文化にも大きな影響を与えました。
・卵料理が人気
スペインでは卵を使った料理が人気です。代表格はスペイン風オムレツ「トルティージャ」(tortilla)。ちなみに、メキシコ料理の「トルティーヤ」(tortilla)は、スペイン語では同一の単語です。メキシコ(アステカ帝国)のトウモロコシのクレープが黄色かったので、スペイン人たちが、はじめ自国の卵料理(トルティージャ)と勘違いしたようです。日本では濁点をつけるか、つけないかで区別していることが多いようです。
・ワインも盛んだが、ビールも人気
スペインのブドウ作付面積は世界一、ワイン生産量は世界第3位のワイン大国です。リオハやカタルーニャ(CAVA)など様々な地域で高品質なワインが造られています。大航海時代を支えた酒精強化ワインとしては「シェリー(ヘレス)」が世界的に有名です。それらに加えて、スペインのバルではビールも人気です。
2010年7月1日木曜日
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